庭に転がっていた石臼で餅つき。赤い餅は小豆で色を出す

和歌山にいた子どもの頃、近所の人がついてくれた餅を食べて、つきたての餅が柔らかいことを初めて知った。餅とはカチカチのもので、焼いてようやく柔らかくなるものだと思っていた。

東京で10年くらい暮らしたが、餅つきをした記憶は1度しかない。香川に移住してから最初の1年間で3回くらい餅つきをする機会があり、ずいぶん違う世界に来たような気がした。

そして、家でも餅つきをすることになるとは思わなかった。お借りしている庭の倉庫の裏に石臼が転がっていた。もう何十年も使われずに雨ざらしになっていたが、そのうち復活させたいと思っていた。友だちに餅つきをしたいと言うと、年末に餅つき会をすることになった。

石臼を乗せる台は、自分でつくろうと思ってネットで作り方を調べ、ホームセンターに行くと、完成品が売り切りセールになっていたので買ってきた。ネットで販売されている商品を調べると、松の木で作った土台が出てきて、松は粘り気があり、水にも強く、臼の土台に適しているとのことだった。ホームセンターで見つけた土台も松だった。


自分で下手につくって、餅をついているときに崩れて石臼を足の上に落としでもしたら大事なので、買ってよかったかもしれない。杵も小さめなのが安く買えた。ホームセンターでは年末ということで餅つきコーナーができていて、電動の餅つき機が幅を利かせていたが、見逃してしまうくらいの片隅に臼の土台や杵があり、電動の餅つき機を使う人と手でつく人の割合はこれくらいのものなのだろうと思った。


ステンレスの蒸し器が活躍。一晩水に浸けておいたもち米をザルで水切りし、さらしで包む。もち米は、高松の春日水神市場で無農薬のものが何種類かあって買ってきた。


蒸し器で湯を沸かした後、もち米を乗せて30~40分ほどで蒸しあがる。その間に、石臼をお湯で温めておく。


冷めないように手早く。


相方と二人で練習。二人餅つきは初めてだけど、二人いればできる。

畑でヨモギを摘んで、ヨモギ餅もつくった。冬の畑ではヨモギの柔らかいところを見つけるのがなかなか大変(今年は寒いから特にかもしれない)。重曹を入れたお湯で茹でてアク抜き。包丁でたたき切りして繊維を砕き、すり鉢でさらに細かくする。


ヨモギ餅は、身体の毒を洗い流してくれる感じがする。


白い餅もかわいい。


餅つき会のときは、赤い餅もついた。


赤色は、小豆の色。小豆を水に浸けておくと色が出るので、その水にもち米を浸して色を移す。小豆の風味もかすかに移って美味しい。

ちなみに、餅を赤くするために使われることのある食紅について調べてみると、ある食紅の原材料はデキストリン(85%)、食用赤色102号(15%)だった。赤色102号(ニューコクシン)は、工業製品の着色にも使用され、カナダ、ベルギー、アメリカなどでは食品への使用が禁止されているらしい。イギリスでも、2008年に、英国食品基準庁が注意欠陥・多動性障害(ADHD)との関連が疑われるとして、メーカーに対して自主規制するよう勧告し、赤色102号を使った食品には「注意欠陥多動性障害に影響するかもしれない」という警告が表示されるようになったらしい。日本では当たり前のように使われ続け、ラベルを見ると入っていることがよくある。店で売っているのを見ると、パッケージからして見るからに不健康そうで、絵の具を食べ物に入れるような感じがした…(こんなパッケージ↓画像はamazonから)。


小豆だと真っ赤にはならないが(真っ赤にする必要はないか…)、淡い小豆色が食欲をそそる。


香川のお雑煮は、白みそに丸い餡餅、ということで、砂糖を使わずにレーズンとアガベシロップで甘みを付けた餡を入れていただいた。


年末についたお餅を食べきって、またつかないと、と思っていたら、遊びに来てくれた友だちが、家でついたという青のり入りのお餅をお土産に持ってきてくれた。年末年始はお餅三昧。


by 硲 允(about me)
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