卵のたんぱく質と太陽光で水素を発生させることに成功したとのニュース(大阪市立大学の研究)を見て


大阪市立大学の研究で、卵由来のタンパク質と光エネルギーを利用した高効率な水素製造に成功した、というニュースを見た。

家庭用燃料電池のエネファームや水素自動車など、既に水素エネルギーは使われているけれど、今のところ、水素をつくるために、石油や天然ガスといった化石燃料由来の物質が使われている。その他には、製鉄所などの副産物として発生する水素(副生水素)から精製することもあるらしい。また、原子力エネルギーによって水から水素を取り出す計画もあるそうな。これらは水素の製造過程で二酸化炭素やさまざまな有害物質を出し、枯渇する資源をあてにしていて持続可能ではなく、「ブラック水素」と呼ばれることもあるらしい。

これに対し、太陽光などの自然エネルギーを用いて水から水素を製造する方法もある。

太陽光を利用して水素を製造するには、「水素製造光触媒システム」というものを開発する必要があるらしく、今回の研究はどうやら簡単に言うと、鶏卵から得られるタンパク質を利用することで、このシステムを効率的に構築することに成功した、というものらしい。

このニュースを見て、「R水素」のことを思い出した(「R水素ネットワーク」という団体があり、そのウェブサイトで詳しく説明してくれている)。

「R水素」とは、水を電気分解して水素と酸素に分け、その水素をタンクにためておき、必要なときに燃料電池(発電機)を通して電気と熱と水を生む、という仕組み(有害なガスは一切発生しないいらしい)。

オーストラリアには、太陽光発電とバッテリーと水素エネルギー(R水素)だけを用いてオフグリッド(送電線から切り離されて)で独立して電気をまかなっている大学の校舎があり、あちこちですでに実用化されているらしい(→「太陽と水素でビル丸ごとオフグリッドに!オーストラリアに誕生した”R水素大学”を見学してきました [イベントレポート]」(グリーンズ)を参照)。

表参道の「COMMUNE246」というコミュニティスペースでも、R水素を使ったマシンが設置されていて、体験できるらしい(→「R水素ネットワーク」の記事を参照)。

大阪市立大学大学院工学研究科の山田裕介教授らによる今回の研究は、電気分解による「R水素」ではなく、光触媒によって水から直接水素を取り出す方法のようだ。

将来、ガソリンの代わりに水を入れれば走る車が走る社会が訪れるかもしれない。

日本の政府機関や企業においても、「CO2フリー水素」を進めていこうとしているように見えるが、「R水素ネットワーク」がFacebookの投稿で以下のように指摘している。




本当に効率的で、地球を汚さず、持続可能なエネルギーを使えるようになるには、国民一人ひとりが賢くなる必要があるのだろう。

前から気になりつつ、まだ読めていなかったこの本も読んでみようと思った。


R水素: 再生可能エネルギーと水による地域循環型エネルギーのかたち(江原 春義)[Kindle版]


【関連記事】

by 硲 允(about me)
twitter (@HazamaMakoto