遠隔ワーク(リモートワーク)で大事なのは信頼関係。率直かつ正直でいられるかどうか


一時期はアルバイトで会社務めをしていたけれど、決まった曜日にどこかへ毎週出かける、という働き方は性に合わず、基本的に家だけで働き始めてから5、6年になる。

家で仕事をするとなると、仕事相手とは基本的にメールや電話でやりとりすることになる。物理的に近くに暮らしている相手とは時々直接会うことができるが、距離が離れているような場合、何年も顔を合わさないまま仕事を一緒にしている、ということもある。

そういう働き方のことを、「遠隔ワーク」とか「リモートワーク」とか、「在宅ワーク」とか、いろんな呼び方があるようだけど、他人とめったに顔を合わさない働き方で重要なのは、「信頼関係」だと思う。

人間、顔を合わさないと不信が募りやすい。「あれ、変だなぁ」とちょっと不信を募らせても、会って話してみると別に悪気があったわけではないことがわかったり、顔を合わせて楽しい話をしているうちにどうでもよくなったりするものだけど、遠隔で募らせた不信感は解消されにくい。

だからこそ、「遠隔ワーク」の場合は特に、面倒くさがらずに、気持ちの微妙なところまでなるべく伝え合うことが大事になる。不信を募らせたなら、正直にそう伝える(言い方には気を付けないといけないけれど)。そうすると、距離が近い場合、たいてい、会って話しましょう、ということになる。微妙なことを伝え合うには、やっぱり面と向かって話すのがいい。電話やメールでは伝えにくい微妙なニュアンスも、会ってしゃべったほうが伝えやすい、ということが多い。メールだとなかなかそこまでは言えない、ということも、顔を合わせれば伝えられることがある。

不信を募らせ、会って解決するのは緊急時の話で、そんな必要がないようにするには、普段から率直で正直なコミュニケーションが大事。率直かつ正直に伝えたら人間関係に亀裂が入る、というような不誠実な仕事の仕方ではいけない。全部ありのまま伝えても大丈夫、という状態を保っておけば、何もこわくない。

一旦亀裂が入ると、「遠隔ワーク」ではなかなか修復の機会が訪れない。不信を募らせた相手と一緒に仕事をして心地いいはずがない。そんな仕事は普通、なるべく減らしたくなるし、仕事にも気合が入りにくい。仕事相手によって力の入れ具合を変えるとはプロではない、と考える人もいるかもしれないけれど、人間、すべてのことに100%のエネルギーと時間を注げるわけではないので、優先順位を付けざるを得ない。常に100%の力を出すのがプロだと言うのなら、ロボットやAIにお任せしよう。人間には人情や気持ちというものがある。それをないがしろにしなければいけない仕事というのは、人間性を破壊する。

信頼関係が大事なのは、別に「遠隔ワーク」に限らない。信頼のない人間関係ほど寂しいものはない。よく言われることだけど、信頼を築くには膨大な時間がかかるけれど、壊すのは一瞬。壊れて当然のものを無理やり維持しようとがんばってもダメだろうけれど、大事なものをうっかり壊してしまわないように気を付けたい(先日、大事にしていた土鍋をうっかり落として割ってしまったのを思い出した…)。


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