雪景色の金沢から帰り、徒然に…


祝い事があり、二泊三日で金沢に行ってきた。

三日目は大雪の予報通り、朝起きると街が雪景色に変わっていた(ちなみに上の写真は金沢ではなく、帰りの電車の窓から撮影した福井の景色)。

ぼくは和歌山のまちなかで育ったので、雪のなかで暮らした経験がない。和歌山では、雪が降ったとしても時々うっすらと積もる程度だった。

金沢よりもっと雪に覆われる場所で生まれ育った相方は、雪に慣れている。ぼくが雪の上をおそるおそる歩いているうちに、さっさと横断歩道をわたって行った。金沢駅の近くの大通りでは、路面のところどころから小さな噴水のように水が噴き出し、雪を溶かすようになっていた。溶けた雪の上を歩くと足が濡れるし、水が流れて小さな川のようになっていて歩行者にはかえって歩きにくい感じがしたが、何か事情があるのかもしれない。相方の故郷ではこのような噴水は見掛けず、ブルドーザーで除雪しているらしい(噴水では間に合わない)。

「雪やどり」で早朝のスタバに避難した。迎えてくれた店員さんは関西から来られたそうで、これだけ雪が降ると京都まで帰る特急(サンダーバード)が止まることがあると、親切に教えてくれた。

スタバの店内に掛けられた大きな絵には、どこかコーヒーの産地の夕暮れ時の風景が描かれていた。大きな太陽が出ているのを見て朝日だろうかとも思ったけれど、カラスがいるのと、絵全体の色合いから、夕暮れのようだった。コーヒーの木が生えているが、プランテーションという感じではなく、家族経営の農園のように見える。女性がおそらく家族分と思われるカップにコーヒーを淹れている。日常の平和な光景。この絵が妙に気に入った。

イングリッシュブレックファストで体を温めてから再び外を歩くと、前日の夜は光に照らされていた金箔のイルミネーションが雪に覆われていた。


(↓前日の様子)

純金箔が約3,000枚使われているという。手の届くところにもあり、盗まれないだろうかという疑問がよぎったけれど、その形跡は見当たらなかった。

金沢の街は品がいいと、父が話していたのを思い出した。駐車違反が少ないし、ゴミがあまり落ちていないという。たしかにあぶなっかしい運転の車に遭遇することがなく、ゴミもほとんど見かけなかった。

雪の中、乗せてもらったタクシーの運転手さんによると、自治会などで集まって毎日早朝からゴミ拾いをしたりして、街の美化に取り組んでいるという。駅の中でも、朝からゴミ拾いをしている方たちの姿が見えた。ゴミがゴミを呼ぶ、というが、常にきれいに保っていると、抑止力にもなるのだろう。

金沢でもこのときほど雪が降るのは珍しいのか、駅ビルで、「今日は観光客の人たちも雪景色が見れるわね」という話し声が聞こえてきた。スタバのお兄さんにも、雪景色の兼六園を見て帰ることを勧められたが、前に一度、雪景色の兼六園を歩いて寒かったことしか思い出せない、ということもあり、予定より早い電車に切符を変更してもらい、逃げるように雪国を脱出した。


by 硲 允(about me)
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