旅と意志の力。日常生活に冒険を


旅に出ると頭が動き始め、人間の能力が呼び覚まされる感じがすることがある。最近旅に出ていないけれど、先日レンタカーを借りて移動しているときにその感覚を思い出した(普段は徒歩と自転車と電車で移動しているので、たまに車を運転すると旅している気分になる)。

それはおそらく、旅の途中は日常生活よりも「意志」を働かす必要に迫られるからだろうと思った。

旅の最中は、不慣れな状況で連続的に「選択」していくことが必要となる。何時に出発してどのコースを行くか、どこで飲食や寝泊まりをするか、車ならどこで燃料補給するか・・・。普段会わない人とのコミュニケーションも発生する。目の前に未知の景色が広がる。

日常生活でもそれくらいの冒険があり、意志の力を十分に働かせている人もいると思うが、毎日同じようなことの繰り返しの生活では、惰性の意志決定でもなんとか生きていける。記憶力を働かせなくても生活に困らないので、前日に食べたものすら覚えていなくて、そのうち、「あれ?今日は朝ご飯食べたっけ?」というくらいになってきたらいよいよやばい。何となくいつも会う人に会って、何となくいつもと同じような話をし、自分の興味のない話を誰かがし始めたら聞いているフリかすぐに自分の話題に変えてしまう、というようなことをしていたら、頭が常に「簡易操縦モード」になって、そのうち目がうつろになってきてボケてしまいかねない。

人によっては一人でいても自分の頭を怠けさせずによく考え、意志の力を働かせる習慣がついている人もいるけれど、ぼくのように怠けがちな人は、意志の力を働かさざるを得ない環境に自分を追い込むのも大事かもしれない。

本格的な旅に出なくても、日常で小さな冒険を自分で用意するのもいいかもしれない。いつもは通らない道を通ってみたり、読んだことのない著者の本を読んでみたり、聴いたことのない種類の音楽を聴いてみたり、知らない人と出会える場所に出かけてみたり、やったことのない楽器など新しい手段で自分を表現してみたり。

冒険をやめると人間は老いてきやすいように思う。冒険し続けている人は、何歳になっても若々しい。失敗や危険をおそれずに新しい冒険をし続けたい。


【関連記事】

by 硲 允(about me)
twitter (@HazamaMakoto