動物のいる暮らし。イタチらしき動物とご対面

ある朝、畑にいく途中の通路に見慣れない動物が現れた。


後ろ足二本で立ち上がり、短い前足二本を胸のように見える辺りに構えてこっちを見ている。イタチだろうか。すぐに逃げられたくなくて、ぼくは「敵じゃないよ」という思いを送りながらじっと見ていた。そのまま20~30秒、イタチとぼくは対面していた。邪気のない子どものような顔立ちが愛くるしい。どうしたらいいものかと迷っている様子だったが、さっと身を低めて草の中に姿を消した。と思ったら、すぐにまた直立してさっきの姿勢に戻った。こわがる様子は見せなかったが、後ろを向いてすとすととカーブを歩いて土手の向こうに姿を消した。追いかけたときにはもう見えなかった。

こんなに可愛い動物がこの辺りに住んでいるとは、と思った。どこにどんな巣をつくっているのだろうか。人間が機械で轟音を立てて草を刈ったり、鼻がおかしくなるようなクスリを撒いたりしているが、そんな場所のどこか片隅で暮らしているのだろう。普段はめったに姿を見せないけれど、地球という大きな同じ家に一緒に暮らしている。

土手を上がって畑に入ると、ハーブの畝の草ぼうぼうの中から白い獣が飛び出した。走るというよりも飛ぶように向こうへ姿を消したのは大きな犬だった。ここの畑に通い始めて3年と少し。畑の中に犬がいたのは初めてだった。

家に帰ってから相方に話すと、白い犬は畑のすぐ向こうの家の犬かもしれないと言う。普段は繋がれているはずだけど、脱走したのだろうか。いつも見えるところに畑があるけれど行ったことがなくて、一度入ってみたかったのかもしれないと思った。ぼくが畑にいつもいることを知っているのだろう。「やばい、あいつが来ちゃった」という感じだったのかもしれない。それにしても、この畑のことをよく知っているに違いない、と思うほど、逃げる方向が正確で無駄がなかった。

その日、相方が裏庭の何者かに話しかけていると思ったら、子猫だった。


動物のよく現れる日だった。翌日も、田植えを終えた田んぼを見ると、稲の横を亀が楽しげに歩いていた。

イタチらしき動物は、グーグルの画像検索で調べてみると、やっぱりイタチだったことがわかった。


【関連記事】

by 硲 允(about me)
twitter (@HazamaMakoto