「シンプルな英語で話す 西洋の天才たち(Western Genius)」を翻訳しました。


最近翻訳した本の見本が届きました。The Japan Times(ジャパンタイムズ)から出版されている「シンプルな英語で話す 西洋の天才たち―Western Genius」という本です。

西洋のgenius(天才、偉人)たち99人のストーリーを読んで、英語で西洋の思想や歴史を学べる本です。

著者は、早稲田大学名誉教授で、アメリカ文化史を専門とするジェームス・M・バーダマンさん。シンプルかつ知的な英語で書かれています。

見開き1ページで1人を紹介し、すべて対訳になっています。難しい語句や専門的な用語の解説などもついています。

西洋の99人のgeniusって誰だろうと気になるところだと思いますが、バーダマンさんが選んだのは以下の人物たち。

Chapter 1
古代
[紀元前約3000年~紀元後約400年]
中世
[紀元後約400年~紀元後1400年]
1. ペリクレス  民主政治を完成
2. ヘロドトス  歴史の父
3. ソクラテス&プラトン  西洋哲学の祖
4. アリストテレス  偉大な哲学者
5. アレクサンダー大王  東方遠征によりギリシャの文化を広める
6. ジュリアス・シーザー  後にその名が「皇帝」の称号に
7. イエス  キリスト教の始祖
8. 使徒パウロ  キリスト教の布教者
9. コンスタンティヌス1世  キリスト教に改宗したローマ皇帝
10. カール大帝  西ヨーロッパ統一
11. トマス・アクィナス  中世最大の哲学者
12. マルコ・ポーロ  『東方見聞録』でアジア諸国をヨーロッパに紹介
13. ダンテ  地獄、煉獄、天国への魂の旅『神曲』
14. ジェフリー・チョーサー  人々が日常的に使う言葉で『カンタベリー物語』を執筆
15. ヨハネス・グーテンベルク  活版印刷技術を発明し、聖書を印刷

Chapter 2
ルネサンス
[約1400年~1600年]
16. ジャンヌ・ダルク   「オルレアンの乙女」と呼ばれた悲劇のヒロイン
17. イサベル1世&フェルナンド2世  スペインを統一した君主
18. クリストファー・コロンブス   大航海時代、アメリカ大陸へ到着
19. レオナルド・ダ・ヴィンチ  「モナ・リザ」で知られるルネサンスを代表する万能人
20. アルブレヒト・デューラー   イタリアの美術様式を北方に導入
21. ミケランジェロ・ブオナローティ  彫刻、絵画で人体表現を極める
22. フェルディナンド・マゼラン   世界一周航海
23. マルティン・ルター  宗教改革を牽引
24. エルナン・コルテス   新大陸を探検
25. ジャン・カルヴァン  プロテスタントの神学書『キリスト教要綱』を記す
26. 女王エリザベス1世  イングランドの黄金時代に君臨
27. ガリレオ・ガリレイ  地動説を提唱し異端審問にかけられた
28. ウィリアム・シェイクスピア   イギリス・ルネサンス期演劇の天才劇作家
29. ルネ・デカルト   我思う、故に我あり『方法序説』

Chapter 3
近世
[約1600年~1800年]
30. ジョン・ロック  イギリス経験論の父
31. ルイ14世  絶対王政の象徴「太陽王」
32. アイザック・ニュートン  万有引力の法則『プリンキピア』
33. エンゲルベルト・ケンペル   江戸参府時の見聞録『日本誌』
34. ヨハン・セバスティアン・バッハ   音楽の父
35. ヴォルテール  宗教的不寛容を批判『寛容論』
36. ベンジャミン・フランクリン   アメリカ建国の父の1人
37. カロルス・リンナエウス   分類学の父
38. サミュエル・ジョンソン   『英語辞典』を独力で編さん
39. ジャン=ジャック・ルソー   人民主権を主張した『社会契約論』
40. アダム・スミス   経済学の始祖
41. イマヌエル・カント  ドイツ観念論を確立した『純粋理性批判』
42. 女帝エカチェリーナ   皇后からロシア皇帝へ
43. ジェームズ・ワット   蒸気エンジンの改良
44. トーマス・ジェファーソン  第3代アメリカ合衆国大統領
45. トゥーサン・ルーヴェルチュール   ハイチ独立運動の指導者
46. ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ   教養小説『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』
47. メアリー・ウルストンクラフト  フェミニスト運動の先駆『女性の権利の擁護』
48. イーライ・ホイットニー  綿繰り機の発明
49. ナポレオン・ボナパルト  フランス革命後を独裁統治
50. アレクサンダー・フォン・フンボルト   行動する博物学者
51. ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン  聴覚を失った大作曲家
52. シモン・ボリバル   南米独立闘争に身を捧げた革命家

Chapter 4
近代I
[1800年]
53. エイブラハム・リンカーン   第16代アメリカ合衆国大統領
54. チャールズ・ダーウィン  進化論を唱えた『種の起源』
55. ハリエット・ビーチャー・ストウ  南部の黒人たちの現実『アンクル・トムの小屋』
56. チャールズ・ディケンズ  産業革命下の貧困を描いたイギリスの国民的作家
57. オットー・フォン・ビスマルク   ドイツ統一を成し遂げた鉄血宰相
58. ヘンリー・デイヴィッド・ソロー   自給自足の生活『ウォールデン 森の生活』
59. カール・マルクス   資本主義経済の危険性を説いた『資本論』
60. フローレンス・ナイチンゲール   近代看護制度を確立
61. ハインリヒ・シュリーマン   伝説の古代都市トロイ発掘
62. グレゴール・メンデル  遺伝の法則を発見
63. ルイ・パスツール   近代細菌学の開祖
64. マーク・トウェイン  人種差別を風刺した『ハックルベリー・フィンの冒険』
65. アンドリュー・カーネギー  一代で富を築いた「鉄鋼王」、慈善家の先駆
66. フリードリヒ・ニーチェ  超人たれ『ツァラトゥストラはかく語りき』
67. トーマス・エジソン   実用電球の発明
68. ジークムント・フロイト   『精神分析入門』を著した精神分析の創始者
69. ルドルフ・ディーゼル   燃焼エネルギーを利用したディーゼルエンジンの発明
70. ヘンリー・フォード  ライン生産を始めた自動車王
71. マックス・ヴェーバー   近代社会学の創始者
72. ライト兄弟(ウィルバーとオーヴィル)  飛行機の発明
73. マリー・キュリー  放射能の研究で2つのノーベル賞を受賞
74. アルベルト・シュヴァイツァー  アフリカでの医療活動によりノーベル平和賞を受賞
75. アルベルト・アインシュタイン   20世紀最大の物理学者
76. ヘレン・ケラー   苦難を乗り越えた福祉活動家
77. パブロ・ピカソ  スペイン内戦時に描いた「ゲルニカ」
78. フランクリン・デラノ・ルーズベルト  第32代アメリカ合衆国大統領
79. ジョン・メイナード・ケインズ  積極的介入を行う「大きな政府」を提唱
80. ココ・シャネル   パリ・モード界の女王
81. エレノア・ルーズベルト   国連総会アメリカ代表
82. チャーリー・チャップリン  映画黎明期の喜劇王

Chapter 5
近代II
[1900年]
83. ルイ・アームストロング  ジャズの神様
84. ウォルト・ディズニー  エンターテインメント王国の創造主
85. マーガレット・ミード   人類学の母
86. ディートリヒ・ボンヘッファー   「20世紀の10人の殉教者」の1人
87. レイチェル・カーソン  環境保護活動を導いた『沈黙の春』
88. シモーヌ・ド・ボーヴォワール   生まれつき女性なのではない『第二の性』
89. マザー・テレサ  生涯、貧しい人々に寄り添った修道女
90. アラン・チューリング  チューリングマシンによりコンピュータの原理を考案
91. ネルソン・ホリシャシャ・マンデラ   南アフリカの人種差別撤廃運動に従事
92. マーガレット・サッチャー  保守的かつ強硬な政治手腕の「鉄の女」
93. アンディ・ウォーホル   ポップアートの旗手
94. ノーム・チョムスキー   言語学にパラダイム・シフトを起こした
95. ジェームズ・ D ・ワトソン&フランシス・クリック   DNAの二重らせん構造を発見
96. マーティン・ルーサー・キング・ジュニア  公民権運動の指導者
97. エルヴィス・プレスリー  キング・オブ・ロック
98. レフ・ワレサ   労働組合「連帯」を創設し、東欧革命を先導
99. ティム・バーナーズ=リー   ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を考案

共訳なので、このうち約半分をぼくが訳しています。

訳していて楽しいのは、おっと思うような内容に出会ったときです。最後の99人目ということもあって強く印象に残っているのが、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を考案したティム・バーナーズ=リー。

ティム・バーナーズ=リーは、インターネットの世界でおなじみのHTML、URL、http、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を生み出した人物です。

彼はWWWのアイデアで特許を取ったり著作権保護を得たりせず、これをオープンで誰でも無料で使えるようにするために、他の誰よりも闘ったとのこと。

ワールド・ワイド・ウェブでは、いかなる種類の情報にも、誰もがどこからでも自由にアクセスできるようにすべきだと彼は信じていた。(He believed that the World Wide Web should provide open access ― to any kind of information, to anyone anywhere.)

通信料金さえ支払えば、いろんなウェブサイトを見ながらこうしてブログが書けるのも、彼が奮闘したおかげなんだなぁと。

人それぞれ、おっと思う箇所は違うと思いますが、そういう発見がある本だと思います。


シンプルな英語で話す 西洋の天才たち―Western Genius



ちなみに、この本は、前回翻訳した「シンプルな英語で話すアメリカ史」と同じシリーズの続編です。




翻訳は別の方ですが、日本史もあります。


シンプルな英語で話す日本史(英和対訳 CD-ROM付き)



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