2017/02/04

「高糖度・連産のミカンつくり~切り上げせん定とナギナタガヤ草生栽培」(川田建次 著)を読んで

「切り上げ剪定」という方法があると、ネットで知り、検索してみると少しはわかった。ところが、実際に庭木の剪定をしていると、どこを切っていいやら悩むことが多く、庭木もぼくも気持ちもどうもすっきりとしなかったので、前から気になっていた本をようやく買った。


高糖度・連産のミカンつくり―切り上げせん定とナギナタガヤ草生栽培(川田 建次 著)



この本は、美味しいみかんをたくさんならすには、ということで、みかんの木の剪定について書かれているが、他の木々の剪定に応用できそうな情報もたくさんあった。

基本的には、立った枝(立ち枝)を残して切り上げる。みかんの場合、春には立っていても、その後、果実の重みで下がってきて横に寝て美味しいみかんができるらしい。

川田建次さん(こちらはペンネームで本名は道法正徳さん)は、愛媛大学農学部付属農業高校(果樹園芸科)で学び、大学卒業後に果樹試験場に通われていたこともあるとのことで、本では専門的な用語もたくさん出てきて、本を読んだだけではよくわからない箇所もあったが、写真や図がたくさんあり、文章を読みながらそれらを見ているうちに、どういう場合にどこを剪定すればいいか、何となくわかってきた。

それまで言われてきた剪定を学問的に勉強されてきたからこそ、新しい剪定法について、「専門家」にも伝わる言葉で語ることができるのだと思った(「専門家」には専門用語で語らないとなかなか聞いてもらえない)。

切り上げ剪定を続けていると、どんどん木が高くなってしまいそうで、庭木としてはどうなんだろうと疑問に思っていたけれど、切った跡から新しい芽が発芽して、かえって樹はコンパクトに維持されるという(早生みかんの話なので、どの木にもあてはまるわけではないかもしれないけれど)。

道法さんは、切り上げ剪定を始めてから、みかんが毎年よく成るようになり(連年結果)、農薬や肥料も減らすことができるようになったという。

「自然界は、作物が自分の力で虫や病菌から自らを守るようにできている。それを人間が、栽培する側の思いでコントロールしようとして、要らない虫まで発生させてしまう」(p. 34)

この本が書かれたのは、10年以上前の平成14年。最近になってようやく、切り上げ剪定が脚光を浴びるようになってきたのではないかと思う。前書にはこう書かれている。

時代はハードからソフトの時代へ転換し、工業社会からITの時代に変わってきた。次にくるのは心の問題が浮き彫りになる時代であろう。そして人が心を癒すのは、何よりも自然との交流である。(p.1~2)

まさにその通りになっている。剪定の方法にしても、時代を見る目にしても、世間の通念よりも何年も先を行っていて驚いた。

この本を読んでから、庭木の手入れであまり迷いがなくなった。前まで不安そうにしていた木々も、心なしか喜んでいるように見える。

剪定について、実践しながらもっと理解を深めたいと思っている。この本で紹介されている「せん定を科学する」という本も気になる。


せん定を科学する―樹形と枝づくりの原理と実際(菊池卓郎・塩崎雄之輔 著)


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