自民党が改憲後に目指す国の姿とは?「国民は血を流す覚悟を」「国民主権・基本的人権・平和主義をなくさなければ本当の自主憲法にならない」



このところfacebookのタイムラインで何回か流れてきた、信じられないような動画があります。

稲田朋美・自民党政調会長が、「国民の生活が大事だなんて政治は間違っているんです」と語る動画です。




国民の生活が大事なんて政治はですね、私は間違っていると思います。今私たちが生きているのは、私たちの今の生活なんじゃなくて、先人から引き継いできた・・・世界中で日本だけが道義大国を目指す資格があるんです。


国民の生活が大事でないなら、何を大事にするのでしょうか?

稲田氏は別の講演で、こう語っています。

国民の一人ひとり、皆さん方一人ひとりが、自分の国は自分で守る、そして自分の国を守るためには、血を流す覚悟をしなければならないのです。




国民のための国家ではなく、国家のための国民、というわけです。お国のために戦って血を流せ、と。

どこかの国が攻めてきているわけでもないのに、国を守るために何と戦って血を流すのでしょうか。こんな原発だらけの国で、国土を守るために戦って勝ち目があるとは思えません。戦ったら「おしまい」です。戦わなくて済むように、武力を用いない形で努力を最大限していくべきだと思います。国民に血を流させないようにするのが、政治家の役目ではないでしょうか? 血を流したい国民だらけの国民の代表なら理解できますが、少なくともぼくの周りにはそんな人はいません。

立憲主義に基づいた憲法というのは、国家権力から国民の人権や自由を守るためにつくられており、国民のための国家ではなく、国家のための国民を理想とする彼女やその仲間たちは、現行憲法が気に入らないわけです。




礒崎氏は本当に知らなかったのかもしれませんが・・・。

また、第一時安倍政権で法務大臣を務めた長勢甚遠氏は、創世「日本」の研修会で、こう語っています。

私はあれ(自民党の憲法改正草案)を読んでですね、正直言って不満なんです。自民党も戦後レジームの定着によって役割を果たしてきたんだなということを自ら言っているようなもんだと思っています。

なぜ反対か? 個々の改正案のところには賛成するところもたくさんありますけども、一番最初にどう言っているかというと、「国民主権、基本的人権、平和主義、これは堅持する」と言っているんですよ。

皆さん、この3つはマッカーサーが日本に押しつけた戦後レジームそのものではないでしょうか。この3つをなくさなければ本当の自主憲法にならないのですよ。ですから私は自民党員なんですけど、あの草案には反対なんです。


(長勢氏の発言は15:00頃から)




国民から主権と基本的人権を取り上げるというのは、あまりに突飛な話で、最初、こうした映像を見たり記事で読んだりしても現実味があまり感じられなかったのですが、自民党の憲法改正草案やそこに書き込まれた緊急事態条項がどういうものであるかを勉強するうちに、そのおそろしさに現実感が伴ってきました。

緊急事態条項ができれば、国家はあらゆる権利を合法的に獲得することができ、独裁体制が整い、国民に対し、国のために「血を流す」ことを強制できるようになります。

まさか、と思われる方もいるかもしれませんが、その「まさか」の状況に今の日本はあります。

麻生太郎副総理・財務相は、「ある日、ワイマール憲法がナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうか」と発言しています(2013年7月29日、国家基本問題研究所で)。

これが軽はずみな冗談とは思えないほど、状況は似通っています。

ナチス・ドイツのヒトラーは、1933年1月に首相に就任し、翌月、国会議事堂の放火事件を受けて(ナチスの自作自演とも言われています)国家緊急権(大統領緊急令)を発令。翌月3月23日に、国会の立法権をすべて政府に委ねる「全権委任法」を強行採決し、独裁が確率しました。

「まさか」の事態は突然訪れます。その予兆が見えるときに何をするか、何ができるか。「あのとき、ナチスがどうのとか言ってびびってた奴らがおったけど、やっぱりそんなことにはならんかったねー」と笑われるような平和な未来をつくれるかどうか。今まさに緊急事態・・・国民から人権が剥奪されていないこの緊急事態に行動しておかないと、手遅れになりかねません。


※この記事は、IWJの記事「【岩上安身のニュースのトリセツ】「国民の生活が大事なんて政治は間違っている!」!? 「国民主権、基本的人権、平和主義をなくせ!」!? 自民党の改憲勢力の恐るべき本音が明らかに! 参院選で彼らの「憲法クーデター」を阻止せよ! 2016.6.30」の情報をもとに、自分の感想を入れながら書きました(もっと詳しい情報はIWJの記事をご覧ください)。IWJのこちらの記事は著作権を放棄されていて、印刷していろんな人に配ることも可能です。今回の参院選では改憲が争点になっていることすら伝わっていない国民が多く、このような情報を知っている人は、普段からインターネットで政治の情報をウォッチしていたりSNSを活用しているような(国民全体からすると)ごく一部でしょう。インターネットを使わないような人にもリアルの場で伝えていくことが重要だと思います。


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