有機栽培のジュースをあきらめないイオン。買い物は自分が望む社会への投票のようなもの



2年余り前に香川に移住して以来、近所のイオンにしょっちゅう行き、ジュースやお茶を買ってひと休みすることが多いので、商品の移り変わりをけっこう把握しています。

最初の頃は、有機栽培のジュースと言えば、300円以上するフランス産の商品しか見あたらず、値段が高いのでいつも売れ残っていました。

これではそのうち置かなくなるだろうなぁ~と思っていたら、案の定、そのジュースは姿を消し、90円台の商品に代わりました。有機栽培のりんごジュースとみかんジュース。

しかし、これも有機ではないりんごジュースやみかんジュースに比べると数円高く、安いほうを選ぶ客が多いらしく、よく売れ残っていました。

あるとき、このジュースもなくなるらしい、と相方が残念そうに報告してくれました。どうしてわかったのだろうと思ってきいてみると、値段のところに赤くて丸いシールを貼っていたとのこと。このシールを貼ってある商品は、在庫限りで棚から消えるそうです。ぼくよりも頻繁にイオンを訪れ、観察眼のある相方はいつの間にかそんなところまで見抜いていました。

値引きされて60円台になった最後の1本を買ってきてくれました。

もう有機栽培のフルーツジュースは置かなくなってしまうのではないかとも思いましたが、イオンはあきらめませんでした。

とにかく、値段が高いと買ってもらいにくいと考えたのか、内容量は少ないのですが、値段は安い(税込み84円)タカナシの有機濃縮還元ジュースを置くようになりました。

これを置きはじめてから数ヶ月経ちますが、売れ残って値引きされているのをまだ見たことがありません。

イオンの中には、誰かが食べたり使ったりしないように隠してしまいたくなるような商品も多いのですが(入口を入ってすぐの目立つところに陳列された除草剤など)、一方で、無農薬の食べ物や、オーガニックコットンのタオル、無添加の化粧品など、人間を含めた生き物の健康や地球環境に配慮した製品が増えつつあります。仕入れ担当者の中に、そういうことに熱心な方がいるのでしょう。この2年でかなり変わってきて、買いたいものが増えてきました。

なるべくなら、店全体の方針に共感できる自然食品店などで買うほうが気持ちはいいのですが、大型チェーン店でも、自分が共感できる商品を買うことで、企業がそっちの方向に動いていくための小さな小さな力にはなれます。有機栽培や無添加の商品を仕入れても、買う人が少なくて売れ残ってしまったら、「ほれみたことか!」と言われてその仕入れ担当の方は肩身が狭くなり、「お客さまは健康や安全や環境なんかより、安いものをお求めなのだ!」という方向に突っ走ってしまうでしょう。

「購買行動というのは、選挙における投票のようなもの」といわれるのを聞いたことがありますが、日々の買い物で何を選ぶかは、そのお店や市場全体に影響を及ぼします(一票の影響は小さいかもしれませんが、それが合わされば大きな力になります)。

選挙で誰に投票するかを決めるうえで、よく調べておかないと自分の望まない社会をつくることに手を貸してしまうのと同じく、どの商品に投票するかは、よく調べておかないと、望まない結果(病気や自然環境の破壊など)を招いてしまう可能性があります。


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