宣伝嫌いの人ほど自分で宣伝したほうがいいという逆説について



「あんたらは自分で宣伝するのが苦手やろ。もっと吹聴していかなあかん!」

と、ある人に言われたことがあります。

ぼくや相方は、自分を売り込んでいくようなことは苦手で、一緒に始めたatelier makotomoにしても、応援してくれる友人たちのおかげで販路が広がっていっています。

自分たちでつくったものを自ら誰かにすすめたり紹介したりするのは、どうも押しつけがましい感じがするのですが、それを広めていきたいなら、誰かが何らかの形で伝えていく必要があり、自分の自由にならないところに任せるよりも、自分にしっくりくるスタイルで自分でやったほうがいいのではないかと、ふと思ったことがあります。

たとえば、本の場合、タイトルや装丁をどうするかは、出版社の意向も入ってくるでしょう。書店に並んだ本を見て、「帯のこのメッセージ、著者はイヤじゃなかったんかなぁ」と思うことがあります。もっと言えば本の中身ですら、編集者がほとんど書き直してしまった、という話も時々聞きます(小説ですら、編集者が赤を入れまくっている原稿を見て、びっくりしたことがあります)。

ちなみに、atelier makotomoの本は、材料も自分たちで好きに選ぶことができるので、草木染の絹糸や、琵琶湖の森の間伐材を配合した紙、本によってはリサイクル素材をつかった手漉き紙などを使用しています。

「好きなことを仕事にする(珍妙見聞録 第一巻)」


自分たちによる宣伝といえば、ブログやSNSで紹介したり、家の応接間に陳列して、訪れてくれた方に手にとって見てもらったり、ということくらいしかまだできていませんが、自分たちのペースで、自分たちにしっくりくる方法でできています。

ちょっと前までは、ブログで紹介することすら気が引けていましたが、最近は、本の内容が関連する記事では積極的に紹介するようになりました。「吹聴」まではしませんが、こんな本をつくってます、と紹介することくらいはできるようになってきました。

自分でつくったものを自分で販売すると、ダイレクトな反応が得られるので、喜びも悲しみも大きいです。悲しみ(!)、というのはごくたまにしかありませんが、「第三回文学フリマ大阪」に出展したとき、会場の一部に出展者全員の本を並べるスペースがあり、そこでぼくらの本を手にとった方が、値札を見て「何これ、たけ!(高い)」と吐き捨てるように本を戻したときのを見たときはちょっと傷つきました。とはいえ、そんな場面に出くわすことはごくまれで、買ってくれた方からうれしい感想をいただくことがほとんどなので、ありがたい限りで、それが次の本をつくる原動力になっています。
名の知られていない個人が自分で何かを売ろうと宣伝するとなると、細々としかできないわけですが、誰かの意向に左右されず、自分の納得いく好きなスタイルでやっていける、という利点もあります。

宣伝は苦手で好きでもないけど、自分の作品や自分のやっていることなどをもっと多くの人に伝えていきたい人こそ、宣伝活動を放棄したり誰かに丸投げするのではなく、自分のスタイルにこだわりながら、誰かに伝えていく工夫をしていくと、だんだん楽しくなってくるかもしれません。

ちなみに、atelier makotomoの手製本のネット販売では、「BASE」という、無料で簡単に始められるネットショッピングサービスを使っています。手数料も安く、手づくりのものをネットで気軽に販売したい方におすすめです。






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