「理想の暮らし」はどんな暮らし? 「ワーク=ライフ」にしたい。



5年以上前に何かの雑誌で、脳科学者の茂木健一郎さんが朝に湖のほとりかどこかで胡座をかいてパソコン仕事をしている写真を見て、「こんな暮らしいいなぁ」と思ったのを覚えています。

それから1年後くらいに、作家の志賀直哉さんの小説を読み、好きな時間に寝起きし、気の向いたときに友人の家に遊びに行ったり、旅行に出かけたり、「そんな気ままな暮らしができたらいいなぁ」と思ったものです。作品は、日常の暮らしや自分が経験したことをそのまま描いたものが多く、そんな暮らしをして、しかもそれが仕事になるとはいいなぁと思いました。それを作品にするとなると大変なわけですが…。




それから約4、5年。

気がつけばぼくも、似たような暮らしをしています。好きな時間に寝起きし、好きなときに田畑に行き、平日も週末も関係なく友人の家に遊びに行ったり遊びに来てもらったり、パソコン仕事も好きなときに好きな場所でできます(基本的に自宅でしていますが)。

そういえば、ぼくは大学生の頃から、仕事のために暮らしを犠牲にしたくない、という想いがありました。

それを大事にしてきた結果、今は仕事と暮らしの境界線が曖昧になりました。「ワーク・ライフ・バランス」という用語がありますが、ワークがライフ、ライフがワーク、つまり「ワーク=ライフ」な人生を送りたいと考えています。

これまでつくってきた本はいずれも、日常の暮らしから生まれています。日々、想うことをエッセイにした「」、暮らしの中で経験したことをもとに、モノや植物の目線で物語にした「庭の花」、お世話になっている美容師さんや、よく行くカフェのオーナーなど、暮らしの中で出会った方々にインタビューした「好きなことを仕事にする」。「おはなし仙人」にいたっては、家でギター片手に即興で歌ったり語ったりしたことをもとに、相方が物語仕立てにしてくれました。気ままな暮らしから生まれた本たちですが、読んでくれる人が増えてきて、気に入っていただけることもあり、ありがたいかぎりです。

ブログを書くのが好きなのも、暮らしが仕事になるからです(「仕事」というと世間では笑われるくらいの収益しかまだ得られていませんが)。暮らしを充実させればさせるほど、ブログの内容も豊かになっていきます。日常で経験したあらゆることが、記事の「ネタ」になります。暮らしがおろそかになると、書けることも書きたいこともなくなってきますが、暮らしたいように暮らしていると、書きたいことがどんどん出てくるのが面白いところです。

「好きなことを仕事にする」というと、好きなことがなかなか見つからなかったり、好きなことがあってもそれを仕事にするのは難しそうだったり、なかなか前に進みづらいこともあるかもしれませんが、そんなときは、「どんな暮らしがしたいか」を考えてみるのもいいかもしれません。

「理想の一日」とか「理想の一週間」の過ごし方を書き出してみるのも面白いです。すぐには実現しなくても、そこへ至るためにできることをちょっとずつ積み重ねていけば、数年後にはかなり近づいているかもしれません。それに、自分がしたい暮らしを追求していれば、「好きなこと」も見つかりやすくなるのではないかと思います。