フリーランスのいいところは、自分が賛同できない仕事を断れること。


by The word no made from jigsaw puzzle pieces / horiavarlan/


フリーランスのいいところの一つは、自分が賛成できない仕事を相談されても断れることです。

翻訳の仕事は、通常、内容や原文を知らされてから引き受けるかどうか判断するので、原文に書かれていることに賛同できなくて、それを広めるために手を貸したくないと思えば、断る自由があります。

とある新聞のオピニオンコーナーで、英語で書かれたコラムを日本語に翻訳する仕事を定期的にしていましたが、ある時、軍拡を主張するような記事があり、ぼくはその内容に反対だったのでお断りしましたが、それで仕事が途絶えるようなことはありませんでした。

ライターの仕事でも、こういうテーマは書きたいけど、こういうのは嫌だと、はっきり伝えるようにしています。東京のいろんなお店を取材してまわる仕事をしていたとき、お肉料理を出すお店の取材を依頼されたのですが、ぼくは基本的に普段、お肉を食べないので、「取材に行くのはいいですが、料理を食べなくてもいいですか?」と確認したら、料理の感想も書いてほしいから、他の人に相談してみます、とのお返事で、当然ながらその仕事はなしになったのですが、「雑貨とか、文房具とか、そういうお店はないですか?」とお願いしたら、次回から雑貨屋や文房具店の取材を相談してもらえたことがあります。

フリーランスで働いていて、ひっきりなしに仕事の相談がある人はやりたくない仕事を断りやすいと思いますが、仕事が少なくて常に心配しているような場合、依頼されたら何でも「はい、喜んで」と引き受けてしまいがちですが、そうしているうちに、どんどん気の進まない仕事ばかりになってしまう可能性があります。

仕事というのは、相談する側と引き受ける側もそうだし、仕事を通じて関わる個人同士の関係はすべて対等であるべきだと思うので、相手と仕事上、どんな関係にあろうと、常に対等であろうとする心構えが大事だとぼくは思っています。

そうしないと、いざというときに断れなくなります。自分が賛同できないことに手を貸さざるをえなくなります。「魂を売る」ことになるかもしれません。

それは絶対に嫌なので、普段から、小さなことから、賛成できないことはなるべく断る習慣を身につけておくのが大事だと思います。

自分が賛同できないことに「NO」と言えない立場に既に追い込まれているなら、そこからどうやって抜け出すかを考え始めるときかもしれません・・・。