2016/03/21

種無しぶどうはこうして作られる。それでも「種無し」がいいですか?

By さかおり (talk (Own work) via Wikimedia Commons

昔は種なし葡萄とか、種なし柿とか、何とも思わないというか、種がなくて食べやすいなぁ、くらいの感じだったのですが、自然農のことなどを知り始めてからは、「種なし」と聞くとちょっと悲しい気分になります。

昔は自分も「種なし」果物を喜んで食べていたのに、「種なし」で喜んでいる人を見るとちょっと複雑な気持ちになります…。

「デラウェア」などの種なしぶどうって、もともと種ができないようにつくった品種なのかと思ったら、栽培の途中で「種なし」にするための処理をするのだと、最近はじめて知りました。

「ジベレリン」という植物ホルモン剤を使い、コップに入れたジベレリン溶液に、ぶどうを一房ずつ浸していくそうです(「ジベレリン処理」と呼ばれます)。

本来、めしべは受粉するとその中で植物ホルモンがつくられますが、ジベレリン処理をすることによって、受粉と受精が終わったとぶどうに錯覚させるようです。

その様子を映した映像がありました。「ジベレリン処理」を行っているのは、地元の中学生・・・



ジベレリン処理は、ぶどうの満開前と満開後の2度にわたっておこない(品種によって時期が異なるそうです)、1度目は「種なし」にするため、2度目は粒を肥大化させるためにおこなうそうです。

タイミングを見計らって短期間のうちに処理する必要があるため、この映像に出ている山梨県勝沼のぶどう畑では、毎年中学生が農業体験で手伝っているとのこと。

ぶどうの房から滴り落ちる赤紫色の液体(赤いのは食紅のようですが)…この作業を通じて、中学生たちはどう感じたのでしょうか。

映像によると、農業の楽しさ、辛さ、農家の苦労などを中学生に体験してもらいたい、とのことですが、食べる側が、種なしぶどうではなく、種を出すのが多少面倒でも種ありぶどうがいい、という人が多くなったら、こういう大変な作業は減っていくわけです。

大分県の「高倉ぶどう園」さんが、種無しにする理由について、次のように書かれています

ジベレリン処理をして種無しのぶどうにする事は、私たち農家にとって、とても労力をつかう大変な手間です。 先に述べたようにジベレリンの入ったコップにぶどうの花一つ一つを浸す作業、これはこれで大変な手間なのですが、この事自体は序の口です。実は、ジベレリン処理をすると、ぶどうの花の結実が良くなり、果実の肥大も促進されるので、そのままにしておくとトウモロコシのようにギュウギュウに詰まった房になってしまいます。それで、果実が大きくなってゆく過程で、一房一房、粒をはさみで抜き取って間引いて、房をきれいに整えてゆきます(摘粒作業)。そのため、ぶどうの花が咲き始めてからというもの、私たちは寝る間を惜しんで房作りの作業をしなければなりません。もし、種ありのままで良かったとしたら、かなり作業が楽になります。投入する労力は経費と考えられますので、種ありぶどうの方がジベレリンの薬品代も含めて経費を大きく削減できるということです。
では、どうしてそのような大変な思いをして種無しにするのでしょうか。
これは、大多数の消費者が種の無いぶどうを食べやすくて好むという事実から来ています。私たち売り手である生産者は、この事を無視することが出来ないからなのです。

農業体験をした中学生たちは、ぶどうの生産者たちに寝る間を惜しむ大変な作業や経費を負担させてでも、その後、種なしぶどうを食べたいと思ったでしょうか? (おそらく、農業体験でそんな問いを与えられなかったのではないかと想像しますが…)

エジプトでは、アルビノマウス(白色のはつかねずみ)にジベレリンを投与すると、乳腺ガンや肺腺がんなどが発生したという研究があるそうです(詳しいことはわかりませんが)。ジベレリンは自然界に存在するものだから安全だという主張もありますが、「ジベレリンA3」は科学的に作られたホルモン剤のようです。

ジベレリンの危険性について、はっきりしたことはわかりませんが、謎の赤い液体に浸した種なしぶどうより、自然に育った種ありぶどうをぼくは選びます。

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