2016/03/07

「風評被害」だと非難するなら、判断に役立つ情報を提供すべき

Green Winds / 緑の風(みどりのかぜ) / tanaka_juuyoh


3.11以降、「風評被害」という言葉をよく見聞きするようになりました。

その度に、腹の立つことが多いです。「風評被害」だとは思えないような文脈や、筋違いな文脈で使われていることが多いので。



デジタル大辞泉を引いてみると、「風評被害」はこう定義されています。

根拠のない噂のために受ける被害。特に、事件や事故が発生した際、不適切な報道がなされたために、本来は無関係であるはずの人々や団体までもが損害を受けること。例えば、ある会社の食品が原因で食中毒が発生した場合、その食品そのものが危険であるかのような報道のために、他社の売れ行きにも影響が及ぶことなど。

福島原発事故のあと、「風評被害」がよく言われるのは、食品の放射能汚染のこと。

福島やその周辺の県、関東、東北などの作物を十把一絡げにして全部危険だ、と煽り立てるのは「風評被害」だと言われてもおかしくありませんが、自分や家族や友人たちの健康を守るために、放射能汚染があってもおかしくない地域の作物で放射能検査をしていないものを心配したり食べなかったり、産地の書かれていない作物を食べないようにしたり、ということに対して「風評被害」なんていうレッテルを貼るのは不適切です。

先日、こんな記事を書きました。


四国新聞の記事『東日本大震災5年 「安全」どう伝える』を読んで - 珍妙雑記帖





この記事で取り上げた四国新聞の記事でも、「風評被害」という言葉が使われていました。ところが、何をもって「風評被害」としているかはあいまいで、福島産のお米や野菜を食べない人は「風評被害」を生んでいる、と言わんばかりの書き方です。

福島産のお米は全量全袋検査しているから安心だ、野菜も最近はほとんどが検出限界値未満だから大丈夫、とのことですが、記事でも書いたように、福島産の作物がすべて安全とはぼくには思えませんし(もちろん全ての作物が汚染されているわけではないし、厳密に検査して、放射能汚染がないと分かれば安心して食べられますが)、新聞やテレビなどでいくら安全だ、「食べて応援」だと言われたところで、市場に出ているものを疑わずに何でも食べても安全だと思っている人はほとんどいないわけです。

本当に「風評被害」を解決したいのなら、何が安全で、何が安全でないか、正確な知識や情報を提供していくべきです。それもせずに、国が言うのだから、県が言うのだから、(どんな機械でどれくらいの精度で検査しているかも検証せずに)線量を調べているから大丈夫だ、と言ったところで、中にはそのまま信じてしまう人もいるかもしれませんが、既に疑いを持っている人は信じるはずがありません。

放射能に関して、テレビや新聞に出ている情報と、インターネット上の情報などを、見比べながら判断していくわけです。ネット上にもデマや決めつけや、それこそ「風評被害」と言えるような情報が溢れていて、何を信じていいものかわからなくなっている人が多いわけです。そこを整理し、読者の判断に役立つ情報を提供せず、安全面だけことさら強調して「風評被害」がどうのと言ったところで、福島で本当に安全な作物をつくっている人たちを救うことにはならないでしょう。


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