四国新聞の記事『東日本大震災5年 「安全」どう伝える』を読んで

家のお風呂が壊れているので、仏生山温泉に通っています。湯上がりにたいてい、ロビーのテーブルに置かれたAERAか四国新聞を読みます。
3月6日付けの四国新聞を広げていて、紙面1枚を使ったこの特集記事が目にとまりました。

『東日本大震災5年 「安全」どう伝える』

リード文を見ると、食品の風評被害がどうのこうのという話らしい。本文を読んでみると・・・

「2012年から全量全袋検査を行っているコメは、15年産の大半となる1千万袋以上の検査を2月末までに終え、国の基準値(1キログラムあたり100ベクレル)超えはゼロ」

ほんまかいなー。ネットで調べてみると、こんな記事がありました。


「全量全袋検査」といいますが、検査せずに流通しているお米もあるといいますし、そもそも、ベルトコンベア式でたった10秒の簡易測定ではアテにならないという議論もあります。


 四国新聞の記事にはこんな一節もありました。

県によると、野菜や果物で基準値超えが出たのは13年9月が最後で、現在はほとんどが検出限界値未満となっている。

県の言うことだけ横流しにして、誰が信じるでしょうか。「検出限界値」って、どういう設定になってるのでしょうか? ほとんどってどのくらい?

ホワイトフード(WHITEFOOD)の発表によると、2015年上半期にも、福島県をはじめ、関東や東北でも野菜から放射能が検出されています。


そもそも、国が定めた基準値(1キログラムあたり100ベクレル)を下回っているなら安全かどうかという議論すらないわけです。


東京電力は19日、柏崎刈羽原発内で出た低レベル放射性廃棄物の管理方法を公開した。同原発では再利用が認められている1キロあたりの放射性セシウムが100ベクレル以下のゴミもドラム缶に入れて厳重に管理し、搬出後もコンクリートや土で外に漏れ出さないようにしている。
100ベクレル/kgというのは、そういうレベルです。100ベクレルを下回ったら食べても安全、というのは到底信じられません。

『「安全」どう伝える』といい、風評被害を問題視するような書き方をしておきながら、記事の中で「安全」かどうかをまったく議論せず、「安全」だと思わせるような情報だけ寄せ集め、不安に思っている人々を風評被害を生んでいるとしてわる者扱いしているわけです。

「安全」を伝えるというなら、本当に「安全」かどうかをまず調べてほしいものです。読者が何を不安に思っているかはある程度わかっているはずです。そこを議論せずに、国が言うのだから、県が調べたのだから安全の一辺倒。

こんな記事を書いても、読者はまだお金を払って読み続けるものと思われているわけです・・・完全にバカにされているとしか思えません。こんな記事は、読者のために書いている記事でないことは明らか。どんな記事を書いたって、みんな購読しつづけてくれるという甘えがあるのでしょう。本当に自分たちのためを思って発信してくれているメディアを購読したいものです。