日本にいながらでも翻訳ができるくらいの英語力は身につく

翻訳の仕事をしていると話すと、「海外に住んでたんですか?」ときかれることがありますが、海外というと、ぼくはハワイと香港に旅行やアルバイトで数日訪れたくらいです。

海外で暮らさなくても、日本にいながらでも英語や翻訳の勉強はできます(英語圏で暮らせば英語の学習速度が加速するとは思いますが)。ぼくはもともと、英語の勉強に力を入れ始めたのは英語の音が好きだったからで、英語の音は日本にいながらでも聴けるし勉強できるので、特に海外に行きたいという気持ちがありませんでした。

英語の勉強を一所懸命していたのはもうだいぶ前のことですが、誰かの参考になるかもしれないと思い、勉強法について思い付くままに書いてみます。

まずは文法をマスターする

英語の基礎は、文法と語彙です。文法さえ理解すれば、あとは自分で学習を進めていくことが可能です。

文法を基礎から一通りしっかり勉強するには、「ロイヤル英文法―徹底例解」がおすすめです。ぼくは高校では別の参考書を使っていましたが、文法用語をほとんど覚えていなくて大学の授業が理解できなかったので、ロイヤル英文法で復習しました。英文法についてわかりやすく網羅的に説明されており、高校のときからこっちで勉強していればよかったと思いました。



ロイヤル英文法で一通りの文法をマスターし、さらにマニアックに極めるには、「英文法解説(江川 泰一郎)」という本があります。これは大学の英文法の授業で使いました。英文法をだいたい分かったつもりになっていても、これを読むとなるほど、と思わされるところがありました。



文法を自分のものにするには、こうした文法書で勉強するとともに、英語の文章をたくさん読み、文脈の中でいろんな用例に出会って慣れていくことが必要です。文法書で覚えたばかりの文法に出会って「あれだな」と思ったり、文章の中にでてきたわからない文法を文法書で調べたり、その行ったり来たりを繰り返しているうちに、文法書で調べなくてもすらすらと読めるようになっていきます。


ひたすら語彙を強化する

文法の基本を押さえたあとは、ひたすら単語や成句、決まり文句を覚えてボキャブラリーを増やしていきました。

知らない単語や成句を覚える方法は、人によって好みが分かれるようです。「英単語ターゲット1900」や「システム英単語 (駿台受験シリーズ)」などで順に覚えていくのが覚えやすいと言う人もいれば、英語の文章を読んでそこで出てきた知らない単語を文脈で覚えていったほうが覚えやすいという人もいます。ぼくは後者で、知らない単語に出会うと、自分で作った単語ノートに書き留めていきました。




単語ノートのすすめ

文脈で覚えるには、自分専用の単語ノートをつくるのがおすすめです。辞書で調べながらそこに、英単語(成句)、発音、意味、例文などを書いていきます。余力があれば、英英辞典で調べて英語での定義も書いておくと、日本語の訳語に縛られずにその単語の概念をイメージで覚えることができます。

単語ノートに一度書いただけではなかなか記憶に定着しないので、これを何度も見直します。5回くらい見直すと、ほぼ忘れなくなります。何回目の見直しをいつしたのか、ノートに記録しておくと便利です。ぼくは「忘却曲線」というのをちょっと意識して、最初に書いた次の日に見直し、次は3日後、その次は1週間後、2週間後、1カ月後と、だんだん見直しの間隔を広げていき(厳密ではありませんが)、これは効果があったように思います。


発音も大事

発音は大学受験ではほとんど問われませんが、ぼくは英語の音が好きで英語が好きになったくらいなので、発音の勉強にも力を入れました。

英語の発音の入門書は最近ではたくさん出版されていて、どれがいいのかわかりませんが、ぼくは最初に「英語の発音がよくなる本(巽 一朗)」を読んだように記憶しています。



CDやDVDが付いて、音声が聴けるものや、口の形や舌の位置がわかりやすいように書かれいるものがいいです。大学の卒業論文で、どんな参考書で勉強すると英語の発音を効果的に身につけられるかを調べたところ、舌の位置を図でわかりやすく示しているものがよいという結果が出ました。

英語の発音をもっと専門的に勉強するなら、「英語音声学入門(竹林 滋、斎藤 弘子)」がおすすめです。ぼくはこの本の著者の斎藤先生のゼミで音声学を学びました。




発音できれば聴き取れるようになる

英語の発音が上達すれば、リスニングの能力もそれと一緒に伸びていきます。自分がピアノを弾けると、誰かが弾くピアノを聴いて指がひとりでに動くのと同じようなものでしょう。ただし、いろんな人の発音を何度も聴いて、耳を慣らしていくことが必要です。

リスニングの勉強は、聴き取れなかったところをスクリプトで確認できる教材がおすすめです。それと、映画や音楽は難易度が高いので、80%くらいは聴き取れるものからスタートするのがいいように思います。教材は、読解にしてもそうですが、自分の興味のある内容のものを使用すると学習が楽しくなります。

リスニングでつまずきそうなところを体系的に訓練するには、こちらもおすすめです。


英語リスニング・クリニック―Diagnoses and remedies (初診者コース)(篠田 顕子、水野 的、石黒 弓美子、新崎 隆子)


英語リスニング・クリニック(篠田 顕子、水野 的、石黒 弓美子、新崎 隆子)


スピーキングを一人で練習する方法

日本にいると、なかなか練習が難しいのがスピーキング。

英会話学校、という方法もありますが、ぼくはそれはなぜか気が進まず、家で一人でスピーキングの練習をしました。

読解の勉強で使った文章や単語帳に書いた例文を声に出して読むだけでも、スピーキングの練習になります。自転車をこぎながら、何か一つのテーマについて英語で話してみたり、周りの景色を英語で説明したりするのもありです。とにかく、頭の中で英語を瞬間的に組み立てて口に出す練習をたくさんしていると、だんだん、文法の構造をそれほど意識しなくてもすらすら話せるようになっていきいます。

日本人同士でもいいので、ときどき英語で対話する練習も必要です。スピーチのように一方的に話し続けるのと、対話とではスタイルが異なるので、どちらの練習も大事です。応答の仕方を覚えるには、英語ネイティブの人と話して見よう見まねで覚えるのが一番手っ取り早いかもしれません。

家で一人で黙々と練習するときにおすすめの教材は、「眠った英語を呼び覚ます―DLS英語学習法のすすめ(新崎隆子)」です。通訳訓練法をもとに開発された英語学習法で、文章を丸ごと覚えてスピーキングしたり、耳で聞いた英語をサマリーして話したりといった練習法が紹介されています。




アウトプットしよう

スピーキングも大事ですが、日本にいて一番簡単な英語のアウトプットは書くことです。

英語のブログを開設して、自分が世界に向かって伝えたいことや、そこまで大したことなくても英語で表現したいことを書くのは実践的ないい練習になると思います。

誰かと英語で話すときも、普段自分が経験したことや体験したこと、見聞きしたことを話すことになります。そんなとき、普段からブログを書いていれば、そのときに知らない語彙を調べているので、話すときにも困らないでしょう。

英語のライティングはあまりしてこなかったのですが、英語ブログ、ぼくもそのうち始めてみたいと思っています。


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by 硲 允(about me)
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